先日仕事中に庁内掲示板に来年度から採用が決まった合格者一覧が発表されていて、それを見て自分が市役所へ転職しようと迷ってた時のことをふと思い出していました。
「そもそも俺、市役所の仕事向いているのか?・・・」
「わざわざ転職して俺には向いていないなんてことになったら・・・」
「もうこれで転職三回目だしそろそろ適職を見つけないと・・・」
「頭もよくないし入った後やっているのかな・・・」
「そもそも向いてる仕事なんて分かるわけなくね!?」
こんなことばっか考えてましたね。
なんせ割と短期間で転職を繰り返していたためもう疲れてました。
もういい加減自分にあった環境で働いて、ストレスなく働きたいって思いがすごく強かったですね。
それに一番は
「難関と言われる公務員試験を通過したのに失敗したくない」
この思いが一番強かったです。
私は学生時代特に成績が良かったわけでもないですし、何か突出した才能があるわけでもありません。
高校だって工業高校で、普通科目なんてほぼ無教養、新卒で入った職場も工場なので事務職のスキルなんて全くありませんでしたし。
だからこそ、試験合格には継続した努力と勉強していなかった空白の期間を返す程の時間と労力が必要でした。
今まさに試験勉強中の皆さんは良く分かると思いますが、公務員試験ってすごく範囲が広くて自分の苦手教科や得意教科を把握して、自分自信で力を入れる場所を選択しなくてはなりませんよね。
この作業がまた大変で。。。
こんなことしてまで
「向いてなかった!!!!もう辞めたい・・・・・・」
なんてことになりたくないですよね。当たり前です。
そこで、現市役所職員である私が自分の業務や周りの職員の仕事ぶりから
「市役所に向いている人」
を紹介したいと思います。
市役所で働いてみたいと思う方に少しでも役に立てれば幸いです。
注意点
向いている人もいれば向いていない人もいる。
これ以上でもこれ以下でもないので、優劣の話ではありません。
そこだけは注意です。
そもそも市役所が求める理想の人材って?
皆さんも自分が働きたいと思っている自治体のホームページ等に求める人材が掲載してあるページ見たことありませんか?
そこで書かれているのにありがちなのが
市役所が求める人材にありがち
1.使命感を持ち、向上心があって市民目線で臨む人
2.前例にとらわれず積極的に業務改善に努める人
3.新しいことに挑戦する人
4.協調性がありチームで仕事を達成する人
まあ、大体どこの自治体もこんなことが書かれていますね。
これが市役所が公表する
いわゆる
市役所が求める理想の人物像になります。
市役所が求める現実の人材とは
皆さんも薄々理想の市役所が求める人材を見て感じていたと思いますが
理想の求める人材と現実の求める人材は、はっきり言って全く違うと私は思います。
その理由と実際に求められている人材を紹介していきたいと思います。
使命感と向上心をもたず、職場の空気に合わせる人
まず採用されたばかりの人は使命感だの向上心だの持つ余裕はありません。
市役所は基本的に新人だろうとなんだろうといきなり仕事を割り振られます。
形式上の新人研修はありますが、全く役に立ちません。
しかも前任者の抜けた後の穴埋めでそのまま配属されて、業務内容もそのままあなたに!
なんてことも普通にあります。ちなみに私がこれでしたよ。
こんな状態で使命感や向上心なんて生まれのか疑問ですし
そもそも採用する時にあなたを評価するのは
人事課や市長クラスの特別職の方が多いと思いますが
この方たちは
公務員試験の時のあなたは評価していても
実際の職場での働き具合や、仕事に対する姿勢なんて評価しないですよね?
したとしても形式的な人事評価制度だけでしょう。
ホームページに掲げてる求める人材は
市長達が考えた求める人材なわけですよね。
でも職場であなたを評価するのは誰でしょうか。
直属の上司ですよね。
上司だって理想はあなたに使命感と向上心を持ってほしいとは思いますが
そんなことより、何より与えられた定型的業務を取り組むのがもちろん先なわけです。
日々の定型的な業務も出来ない人が高らかに
「自分はこんな大きなことがしたい!」
「市民のためにこうであるべき!」
なんて言っても説得力もないですし、上司だって
「そんなの良いから、仕事を出来るようになってくれ!!!!!!!」
としか思いませんよ。
そしてやっと基本的な業務が出来るようになって
ここから頑張るぞって時には人事異動があります。
だからみんな向上心や使命感なんてなくなってしまうのも仕方ないのかもしれませんね。
そんなところに通常の業務も出来ないのに、大きなことを言い
回りの人を不快にしてることに気づかない
空気の読めない人はいらないってことです。
使命感や向上心といって無駄な仕事を増やす前に、思考停止で日々の業務をこなしてくれー!
これが市役所全体の雰囲気に感じますよ。
前任者と同じ仕事をして、表上だけ仕事をこなす人
市役所は先ほども言った通り人事異動がありますので、もちろん自分の業務を後任の方に引き継がなければなりません。
ただ、人事異動の辞令が出てから約二週間しか引継ぎ期間がないため、現実的にはかなり難しい部分があります。
そのため、必ず業務にはミスが発生します。
さすがに、業務に大きな支障が出ると予想されることは重点的に引き継ぎを行う人がいたり、後任の人が詳しくききにいったりすることも多いです。
ですが、引継ぎ不足によって細かいミスや
「えっ?・・・これ大丈夫なの?」って思う場面が多々あります。
これが当たり前の状況になってしまうため、前任者の間違いを正して業務改善に努める人なんてほとんどいませんね。
まず何も考えず、前任者の仕事をこなした方が圧倒的に楽ですし、少なくとも前年と比べて仕事が増えちゃうなんてことはないですよね。
そして一番は
自分が「一番始めに間違えた人になりません。」
人間は誰しも自分が悪者になりたくないという心理を持っていますよね。
今の新型コロナウィルスだってそういった心理から、症状があっても
「自分がコロナに感染した一人目だったら嫌だからもう少し黙っておこう」
と思ってしまい感染が広がってしまった経緯もありますよね。
話が少しそれましたが、そういった心理に知らずのうちに陥ってしまうということです。
そのことをお互い分かっているためあえて触れない様になるのです。
そんな中
「自分は業務改善に努めます!」
なんて言ったら・・・分かりますよね。
でも中には、やっぱり業務改善に努める真面目ですごい人もいますよ。
でも簡単なことではないですね。
改善するだけの知識量、行動力
それに何より「黙ってればいいのに・・・」って空気と常に戦うことになります。
そうした環境の中、業務の改善に努めている人を見ていると本当に大変そうです。
でもこういった方がいるおかげで市役所って成り立ってるのだなとも感じます。
新しいことに挑戦しない人
市役所はある程度どこの部署だろうとやることが決まっている部署が多いです。
そのため大きな制度の改正でもない限り、市役所の職員の大半は毎日定型的な同じ業務に従事することが大半です。
そして先ほど述べた向上心の無い環境、使命感のなさ、人事異動による経験リセット
これらの環境が前例主義、ことなかれ主義を生み出し、市役所全体の雰囲気がこんな感じになりやすいです。
先ほども述べたとおり思考停止で仕事していたほうが圧倒的に楽なんです。
人間は何か意識していないとすぐ思考停止して楽しようとしますよね。
ましてやこんな環境にいたら誰だってそうなりますよ。
そんな中、新しいことに挑戦する人が現れても助けてくれる人なんてほとんどいないと思います。
それどころか、間接的に
「前と同じく多少ごまかしてやればいいじゃん!」
こんな感じの圧力をかけられますね。
だって「楽」出来なくなっちゃいますからね。
楽したい人達にとって、自分達の楽な時間を奪う人なんて敵なんですよ。
実は私も今新しいことに挑戦していますけど、やっぱり孤独ですね。
周知して申請してもらうべき制度を、前任者がやっていなかったため
私が0から業務の手順を考えています。
これをやったからって給料が上がるわけでも評価が上がるわけでもありません。
それどころか人間関係的にはマイナスです。
ぶっちゃけみんな
「あいつ何新しいことしてんの?・・・」
「仕事増やすなよ・・・」
こう思ってると思いますよ。
長いものに巻かれて空気が読める人
これは皆さんも一度はきいたことがあると思いますが
職場の全体的な感情を感じ取り、そこに合わせられる人はうまくやっていけるのは事実です。
正しいかどうかとかではなくて、周りのみんながどう思ってるのか。
それを最優先にして業務に取り組むことが重要です。
これは市役所に限った話ではなく
どこの会社も
どこの学校も
いわゆる人が集団となり組織を形成するような場所では必然的にこうなるのでしょう。
市役所も組織である以上は例外ではないということですね。
もちろん本来の行政としての役割を考えると
私は良くないと思いますがね。
市役所に向いている人とは
以上のことを踏まえて私が考える
市役所に向いていて
市役所に入るべき人を述べていきたいと思います。
定型的な仕事が好きで苦痛に感じない人
前例主義やことなかれ主義が横行しやすい市役所においてはこれが重要です。
先ほど述べた通り、向上心がある方や新しいことに挑戦する人は嫌われてしまいます。
ですから必然的に業務が良くも悪くも固定されてしまうのです。
結果、業務内容は
毎日、毎日、同じ仕事。
内容も地味な入力作業や書類の印刷。
一度覚えてしまえば何も考えなくて良いのです。
ただ、決まった仕事を決まった通りにやるだけです。
みなさんも無意識にやっていることってありますよね?
定型業務なんて慣れしまえば本当にそれと同じになりますよ。
実際私も定型的な業務は休憩時間もんですから。
ですので思考停止して地味な作業が出来るというのは大きなアドバンテージです。
毎日行う業務にいちいちストレスを感じていては体がもたないですからね。
それに定型的で地味な業務が好きだと思えるならそもそも挑戦しようとかわざわざ思わないと思います。
だから人に嫌われるというデメリットも全くありませんよ。
信念が無く、適応できる人
何度もいいますが、市役所は毎年人事異動があります。
みなさんも一度はきいたことがあると思いますが
市役所の異動は転職に等しい
これはマジです。
ですからみんな異動したての頃はその職場にまずは慣れることで精一杯なのです。
異動せずに残った人だって新しく異動して来た人の手助けで余裕がありません。
総入れ替えに近い形でメンバーが入れ替わることだってあります。
ですので
その時の部署のメンバーによって信念なんてものは簡単にぶれてしまいますよ。
信念があった人が異動で抜けて、逆の人が来たらもうアウトです。
仮に信念を持ってやろうと最初は思っていても
環境の変化に現実と心が追い付かず、疲弊してしまいます。
いわゆる適応出来てない状態になってしまいます。
もうこの状態になったら何をするにも苦痛だと思います。
「自分は本当にこれでいいのだろうか・・・」
「こんなはずじゃなかった・・・もっと地域のために」
「周りの人と考えが違う、どうしよう・・・」
この様に自分を責めてしまうような
信念を持った人は潰れてしまいますよね。
生き地獄みたいなもんですよ。
ですが、逆に信念が無ければこんな思いしなくても大丈夫です。
冷静に考えて市役所の職員全員が信念なんて持ってるわけないですし
むしろほとんどの職員は持ってません。
ですからあなたは多数派になれるのです。
多数派になれば敵を作ることもなく、人間関係も良好で
ストレスフリーな市役所生活を送ることが出来るでしょう。
いちいち疑問を持たない人
これめっちゃ大事ですね。
私はこれが一番大事だと思います。
新しいことに挑戦する人って現状に何か疑問をいだくからこそ、挑戦という形で何か行動に移しますよね。
「自分はこのままでいいのだろうか?]
「もっとレベルアップできるのでは?」
という考えがないと挑戦なんてしませんよね。
業務の改善に努めようとする人だって
「この業務このままで市民のためになるのか?」
「もっと効率化出来るのはないか?」
こういった疑問から、改善という行動に移します。
疑問がすべての行動原理であり、時には大きな結果を残せるきっかけになることも事実です。
しかし、これらの行動は市役所では間違いなく悪手でしょうね。
理由は上記で紹介した市役所で嫌われる行動をびっくりするぐらいすべて網羅しているからです。
逆に考えると
疑問を持たないということは
それだけで市役所に向いていると言っても過言ではない要素なわけです。
疑問を持たないことが出来れば
みんなと同じ考えで仕事が出来る
上司や先輩と意見が食い違うこともなくなる
そもそも仕事でつまることも少なくなる
自分が悪者になることは一切ない
なんかめっちゃ良いことばっかじゃないですか!!!
この様に市役所で働くということにおいて
疑問を持たないことは大切な要素なのです。
市役所に向いている人のまとめ
市役所に向いている人
1.定型的な仕事が好きで苦痛に感じない人
2.信念が無く、適応できる人
3.いちいち疑問を持たない人
他にも細かな向いてる人の特徴はあると思いますが、私が最も大切だと思ったことを3つにまとめました。
安定した給料や福利厚生や残業時間なども要素の一つとしてはあると思いますが、これらの3つの要素には勝てないと思ってます。
あてにならないこと
1.安定した給料
2.手厚い福利厚生
3.不安定な残業時間
給料に関しては、確かにある程度の安定した給与水準があるので
「長く勤めて少しずつ給料が増えればいいやー」って人も向いているとは思いますが
市役所に入るべき要素としてはあまりも弱すぎます。
みなさんも良く知っていると思いますが、公務員の給与はあくまでも平均です。
高くも低くもないです。
辛いことがあった時にそんな給与が支えになる人などごく一部です。
福利厚生も同じ理由で重要な要素にはなりません。
「福利厚生がいいから、がんばるぞー!」なんてなりませんよね。
残業時間は自治体によってばらつきがかなりあると思いますし
市役所より残業少ない民間企業なんてたくさんあります。
それに周りの人間関係や上司によっても変わってしまう不安定要素ですよ。
最悪なのが市役所は予算がなくなったら残業代が出ません。
慢性的に残業多めの部署にいったらすぐに予算がなくなるため
残業代でないですよ。これまた不安定。
こんな不安定要素を目標に市役所に入るべきではありません。
ですから上の3つの要素が何より大事なのです。
特に3つ目の
「いちいち疑問を持たない」です!
ポイント
いちいち疑問を持たないことが一番重要!
市役所に向いていないと思った人へ!
「市役所に向いている人と真逆の要素が多いな・・・・・・やめておこう・・・」
こう思った方もいったん待ちましょう。
向いていない要素が多かったとしても、1つでも向いていれば
市役所に入るメリットがデメリットを上回ることもありますよ。
こういった場合は十分に市役所に入るべき素質があります。
自分と良く向き合う
周りの友人からよく
「挑戦するの好きだよねー」
「なんか決まった作業するの好きそうだよね」
こう言われてるから
自分は向いてないと思った方もいるのではないでしょうか。
しかし
本当の自分の価値観と周りにいる友人や先輩の評価が必ずしも一致していることは稀です。
人間は誰しも、少なからず周りの環境に影響を受けますよね。
「みんなが楽しそうにやってるから、自分もきっと楽しいんだろう」
こうした思い込みが本来の自分の価値観と、表上の自分とのズレを生じさせます。
こうしたズレが
ストレスの最大の原因なんです。
だって気づいたら毎日自分が実はやりたくないことやってるわけですから当然ですよね。
ですからまず
良く本当の自分と向き合いましょう。
周りの目とか、嫉妬とかそんなの一切抜きで考えましょう。
「みんなが楽しんでるけど、自分は本当に楽しめてるかな」
「自分が本当に望んてる状況ってなんだったかな」
こうした視点で考えてから
もう一度自分が市役所に向いているか検討することをオススメします。
それでも市役所に向いてないと思った方は革命を起こすかも
ここまで来て向いていないと思ったら本当に向いてないのかもしれません。
圧倒的な行動力や挑戦する力、揺るぎない信念がある人なのでしょうね。
ですが、あなたはもしかしたら本当に市役所に必要な人材かもしれませんね。
市役所は確かに前例主義などが横行していると思いますが
あなたの行動力や信念が周りの人を巻き込んで
環境に変化をもたらすこともあります。
私の話で申し訳ないのですが
日々コツコツと業務改善に努め、口だけはなく行動に移していたら
少しずつ周りの方の理解も増え、手伝ってくれることも多くなりました。
小さな変化かもしれませんが、積み重ねていけば市役所全体に大きな変化をもたらすことが出来るかもしれません。
でも市民からしたら理想の市役所職員だと思いますよ。
注意点
もちろん生半可な覚悟では達成出来ない険しい道のりです。
また、少数ではありますが改革派の市役所も現れはじめていることは事実です。
例えば奈良県生駒市の様な自治体です。
市役所は基本的に革命的なことをした自治体が出ると
そこをモデルとしてほぼ同じことをします。
あなたがそういった自治体に入り改革を起こせば
革命の先導者となるでしょうね。
市役所に向いていないと思った方への1つの選択肢として考えてもらればと思います!